コラム

大型二種免許とは?取得方法や費用、運転できる車などを解説

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運転免許の最高峰ともいわれる大型二種免許。大型一種免許と同じ車両基準で乗客を乗せ、運賃をもらいながら旅客運送できる免許です。免許取得の難易度が高いものの、就職や転職に有利な免許です。大型二種免許を取得している人材は需要が高いため、観光バス業界やタクシー業界、運送業界で将来的に仕事に困らなくなるでしょう。

こちらの記事では、大型二種免許の特徴や受験資格、取得方法、取得にかかる期間や費用、試験内容などを紹介しています。

本記事は大型二種免許取得に関する基本的な情報をまとめたものです。
期間や費用は状況によって異なりますので、ご自身でも最新情報をご確認ください。

この記事のポイント
・大型二種免許はバスなどの大型車両を有償で運転できる
・大型二種免許は就職・転職に有利でつぶしが効く
・費用は通学なら約30万円、合宿なら約20万円
・期間は通学なら2〜3カ月、合宿なら2〜3週間ほど
・大型二種免許取得支援制度なら働きながら勉強ができる

大型二種免許(第二種大型自動車免許)とは?

大型二種免許は、有償で大型の車両を運転し、人を目的地まで運ぶ仕事をするために必要な運転免許です。大きな車両を運転するだけであれば大型一種免許で対応できますが、大きな車両に乗客を乗せ、さらに安全かつ正確に運転する技術が求められます。大型一種免許と同じ車両基準で旅客運送するプロの免許であり、免許取得にかかる採点基準が厳しいことから運転免許の最高峰ともよばれています。大型二種免許の取得が厳しいのは、30人以上の乗客を乗せ、乗客の安全と公共の秩序を保つ責任があるためです。

免許取得の難易度が高い大型二種免許ですが、取得すれば仕事に困らなくなるのがメリットです。いわゆる「職業免許」とよばれるもので、特に観光バス業界では必須の免許なので転職や就職の際に有利にはたらきます。そのほか、学科試験で人命に関する知識や障がい者への援助なども学ぶため、私生活にも役立てられるのがメリットです。

大型二種免許で運転できる車

大型二種免許の車両イメージ

大型二種免許を取得すれば以下の車両を運転できます。

大型二種免許で運転できる車
・大型自動車
・中型自動車
・普通自動車
・小型特殊自動車
・原動機付自転車

上記の車両は大型一種免許を取得すれば同じく運転できますが、大型二種免許であればさらに旅客運送を目的として運転できるという違いがあります。

また、大型自動車とは、「車両総重量11t以上」「最大積載量6.5t以上」「乗車定員30人以上」のいずれかひとつを満たした車両のことです。そのため路線バスや貸切バス、観光バスなど旅客用の大型車両のほか、旅客運送を目的としない大型トラックなども運転可能です。もちろん、タクシーや代行運転用の普通自動車も運転できます。

大型二種免許の受験資格は?年齢や経験に条件がある

大型二種免許の受験資格は次のとおりです。

受験資格
年齢満21歳以上
取得済の免許第一種免許(大型・中型・普通・大特など)
経験免許取得から3年以上経過
※免許停止期間を除く
視力片眼0.5以上、かつ両眼0.8以上(メガネやコンタクトの使用OK)
深視力検査2.5mの距離で平均誤差が20mm以内
識別赤・青・黄の信号灯の識別が可能
身体自動車の運転に支障がある身体的障害がない
聴力5m離れて日常の会話が聞こえる

普通免許と比べて大型二種免許の受験資格は厳しく、年齢や経歴などの条件があります。大型二種免許の取得を目的として、自動車教習所に入校する場合も同じ条件を満たしておく必要があります。

大型二種免許の受験資格に、第一種免許の取得から3年以上という条件がありますが、自衛官は普通免許以上の取得から2年以上経過していれば受験可能です。ただし、いずれも免許停止処分を受けたことがある場合、停止期間は除かれます。

また、深視力とは遠近感や立体感を判断する目の能力のことです。深視力検査では「奥行知覚検査器」を使用し、対象物の位置関係を把握できるかどうかを検査します。検査は3回行われ、その平均が20mm以内で見分けられることが受験資格の条件です。

受験資格特例教習とは?2022年5月から免許取得の条件緩和が可能に

道路交通法の一部改正に伴い、2022年5月から「受験資格特例教習」を修了することで、大型二種免許の受験資格要件が緩和されるようになりました。受験資格特例教習は、大型免許のほか、中型免許や普通免許など第二種免許を取得する際に必要な受験資格を緩和するための教習です。特別教習を修了することで、満19歳以上でなおかつ免許取得から通算1年以上経過していれば、大型二種免許の試験を受験できます。

受験資格特例教習

また、受験資格特例教習は年齢や経験で培われる自己制御能力のほか、危険予測や回避能力の養成を目的とし、計36時間の学科および技能教習が行われます。

参照:受験資格特例教習について|福岡県警察本部

大型二種免許を取得方法は?免許取得までの流れ

大型二種免許は、一種免許と同様に自動車学校(教習所)に通ったり合宿に参加したりして取得するのが一般的です。免許取得の流れは、現在どのような免許を取得しているかどうかで細かく異なりますが、基本的には次のような流れです。

大型二種免許解説コラムのメインイメージ

免許取得の流れ

  1. 指定自動車教習所に通う(または合宿)
  2. 技能講習・学科講習を受ける(第一段階)
  3. 修了検定に合格し仮免許を取得する
  4. 技能講習・学科講習を受ける(第二段階)
  5. 技能卒業試験を受ける
  6. 免許試験場で第二種の学科試験に合格する
  7. 免許証が交付される

前職がタクシードライバーの人など、すでに「二種免許」を取得している場合は学科試験が免除されます。また、トラック運転手などすでに「大型一種免許」を持っている人は、技能修了検定が免除されます。

自動車教習所に通わず一発試験でも合格できる?

大型二種免許の取得は、自動車教習所に通わなくても、合格を目指すことも可能です。いわゆる「一発試験」ともよばれ、教習所へ通わずに独自に練習し、試験場で技能試験を受ける方法です。一発試験の合格で大型二種免許を取得する流れは次のようになっています。

一発試験での免許取得の流れ

一発試験の流れ

  1. 免許試験場(または免許センター)で適性検査を受ける
  2. 免許試験場で第二種の学科試験を受けて合格する
  3. 免許試験場で第二種の技能試験を受けて合格する
  4. 仮免許が交付される
  5. 路上練習する
  6. 本試験(路上)に合格する
  7. 教習所で取得時講習を受講する
  8. 免許試験場で免許が交付される

一発試験で大型二種免許を取得するためには、第二種の学科試験と技能試験に合格し、路上の本試験に合格する必要があります。本試験を受けるためには、仮免許を取得して路上練習を行わなければなりません。本試験前の3カ月以内に5日以上の路上練習が必要で、さらに練習の際は大型免許保有者など条件を満たす人の同乗が必要です。本試験に合格後、自動車教習所で4時間の大型車講習と3時間の応急救護処置講習を受講することで、免許が交付されます。

大型二種免許の一発試験は、教習所に通う費用が抑えられ、短期間で取得できる方法です。しかし、一発試験の合格率は7%ほどで初受験で合格するのは困難と言われています。そのため、教習所へ通って取得する方法が一般的で、教習所を利用したほうがトータルの費用や期間を短縮できる可能性があります。

大型二種免許の取得にかかる費用

大型二種免許の取得にかかる費用相場は次のとおりです。

免許取得の費用相場
合宿の場合約25万円〜
通学の場合約30万円〜
一発試験の場合約4万円〜

免許取得の費用は通う自動車教習所やプランによって異なるほか、仮免許申請手数料や受験料などの手数料が別途かかる可能性があるため、あくまでも目安と考えておきましょう。また、基本的な費用相場は上記のとおりですが、すでに取得済みの免許の種類によって異なります。たとえば、中型二種免許を取得している人の場合、学科試験が免除されるため、通学であれば約24万円で大型二種の免許を取得できる可能性があります。

また、合宿は教習所側で授業スケジュールを決定でき無駄がないため、通学する場合よりも安い費用で免許取得できるのが一般的です。ただし、合宿はオンシーズンとオフシーズンがあり、教習を受けるタイミングによって費用に差があるため注意しましょう。

一発試験は約4万円〜と格安で取得できる可能性がありますが、取得難易度が高く、期間が長引けばその分多くの費用がかかります。たとえば、10回目の受験で合格できたとすると、10回分の試験手数料や車両使用料、試験会場までの交通費がかかります。実際、一発試験を受ける人は民間のインストラクターに別料金を支払って教えてもらっていることも多く、結果的に費用がかさんでしまうケースも少なくありません。

通学と合宿はどちらがお得?

自動車教習所

大型二種免許を取得するにあたって、通学と合宿どちらを選択するのかは本人が重要視するポイントによって異なります。費用をできる限り抑えたい人は、合宿が適しています。合宿は教習所側が指定したスケジュールに沿って無駄なく講習を受けられるため、通学と比べて料金が安いです。さらに、宿泊費や一日三食の食事も含まれているので、通学よりもお得です。

しかし、仕事などでなかなかまとまった期間を作るのが難しいという人は少なくありません。仕事も続けながら、仕事と並行して免許取得を目指すという人には通学がおすすめです。どちらにしても、車両やコースの関係から大型二種免許を取得できる教習所は限られており、受け入れ人数にも上限がありますので、できる限り早めに予約を済ませましょう。

給付金を受給可能!一般教育訓練給付金制度とは?

大型二種免許の取得は、「一般教育訓練給付金制度」を使用すれば費用負担を抑えることができます。一般教育訓練給付金制度とは、条件を満たした人であれば20%(上限10万円)の給付を受けられる制度です。受給の主な要件としては、再就職やキャリア形成を目的としていること、雇用保険の被保険者としての期間が通年1年以上などがあります。一般教育訓練給付金制度について詳しく知りたい人は、ハローワークまたは自動車教習所に一度相談してみましょう。

参照:一般教育訓練給付金制度の開始|厚生労働省

札幌観光バスは大型二種免許取得支援制度あり

札幌観光バスの車両

札幌観光バス株式会社では、採用と人材育成を目的に「大型二種免許取得支援制度」を導入しています。大型二種免許取得支援制度とは、バス運転士の求人に応募し入社後、大型二種免許の取得にかかる費用を会社負担で取得できる制度です。

一般的に、バス会社による運転士の求人は、大型二種免許の所持を採用基準としているところがほとんどです。しかし、現在バス業界は深刻な人手不足のため、ごく一部のバス会社ではドライバー未経験者や大型二種免許を所持していない人にも間口を広げ、入社後にバス運転手の養成を行っています。

バス運転士への転職・就職を考えているものの、資格取得にかかる費用がネックになっている人も少なくないはず。札幌観光バスなら、普通自動車免許をお持ちであれば、未経験でもバス運転士を目指すことが可能です。入社後は社内の簡単な業務をこなしてもらいながら、就業中に大型二種免許取得のための勉強をしてもらいます。

免許取得にかかる費用は会社が一時負担し、3年勤続された方の場合、取得費用の本人負担はありません。お給料をもらいながら資格の勉強ができ、資格取得の費用も抑えることができます。バス運転士になりたいけど、ドライバー未経験で大型二種免許も持っていないという人は、札幌観光バスで一緒に働きながら資格取得を目指しませんか。

 

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大型二種免許の取得にかかる期間

大型二種免許の取得にかかる期間は現在所持している免許により異なりますが、期間の目安は以下のとおりです。

免許取得にかかる期間
・通学:約2〜3カ月
・合宿:約2〜3週間

通学は免許取得までに2〜3カ月ほどかかるのが一般的ですが、教習所やプランによっては早く卒業できることがあります。ただし、大型二種免許を指導できる人は限られているため、希望の時間で予約が取りにくいことがある点に注意が必要です。また、通学も合宿も教習所を卒業した後、運転免許試験場で本試験を受けて合格する必要があります。

自動車教習所の試験とは?3つの試験がある

自動車教習所で行われる試験は主に次の3つです。

自動車教習所の試験
・適性試験
・学科試験
・技能試験

適性試験(適性検査)は、視力や深視力、聴力などを検査して大型二種免許の受験資格を満たしているかを判断します。自動車教習所に入校して最初に実施され、適性試験に合格すれば学科や技能などの講義を受講できます。

学科試験は、交通法規や安全運転のマナーなど、運転に必要な知識と理解度を測る試験です。マークシート方式で95問(文章問題90問・イラスト問題5問)が出題され、合格ラインは90点以上と高いです。応用問題が多いうえ、運転区分に関する問題や旅客など専門的な問題も出題されます。なお、二種免許(普通第二種免許など)を取得している人は学科試験が免除されます。

また、技能試験は路上運転するための基本的な知識と技能を測る卒業試験です。車長11m・乗車定員30人以上の大型車両で試験は行われ、乗客を乗せた状態で安全かつ正確に運転する技術があるかどうかチェックされます。合格点数は80点以上で、減点方式なので20点までの減点が合格ラインとなります。

大型二種免許はどのくらい難しい?合格率は61.4%

警察庁の統計によれば、令和5年度の大型二種免許の合格率は61.4%と発表されています。一般的な運転免許「第一種普通免許」の合格率が73.6%のため、大型二種免許は難易度がやや高いです。

参照:運転免許統計 令和5年版|警察庁交通局運転免許課

また、大型二種免許の卒業試験である技能試験の合格率は10%〜20%ほどと言われています。学科試験も難易度が高いので試験項目の学習に加え、何度もシミュレーションしておくことが大切です。

大型二種免許の取得に関するよくある質問

Q.大型二種免許は取得する意味がないって本当ですか?

大型二種免許は大変意味のある免許です。30人以上の乗客を乗せ、旅客業務として大型車両を運転して運賃をいただくことができます。就職や転職に役立つだけではなく、つぶしが効く免許とも言われており、20代〜30代はもちろん、40代〜50代でも大型二種免許を取得すればバス業界やタクシー業界での転職を目指しやすいです。

将来のことを考えると、大型二種免許は非常に役立つ資格と言えます。

Q.学科試験の免除の条件は何ですか?

学科試験免除の条件は、すでに二種免許を取得していることです。二種免許とは、乗客を運ぶことを目的とし、旅客自動車を運転する際に必要な免許です。たとえば、中型二種免許や普通二種免許などを取得している人は、大型二種免許の取得において学科試験が免除されます。また、大型一種免許を取得している人の場合、技能試験が免除されます。

まとめ

大型二種免許は、運賃をいただいて乗客を目的地まで運ぶことのできる運転免許です。大型一種と同じ車両基準で、乗客の安全と公共の秩序を保ちながら運転する必要があります。免許取得の基準が高いものの、バス業界や観光業界への就職・転職が有利になるつぶしが効く免許です。

札幌観光バスでは、大型二種免許取得支援制度で働きながら資格の取得を目指せるので、興味がある方はぜひお問い合わせください。

 

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さっかんジャーナル編集部

日々お客様を全道各地へご案内する、札幌観光バスのスタッフによる編集チーム。
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