バス運転士は90年代の人気職業。あれから25年、無事故の実績をもつベテランドライバーの心意気【さっかん社員インタビュー】
札幌観光バス株式会社
運輸部運行課 主任運転士
1997年1月入社
吉田 康夫
YASUO YOSHIDA
北海道伊達市出身。高校卒業後は自衛隊員として4年勤務。第二種大型自動車免許を活かしてバス会社へ転職し、観光バス・路線バスの運転士に。信頼する先輩の勧めで札幌観光バスに入社し、以降25年間無事故の実績を誇る。全国に数台、北海道に1台しかないハイクラスバスの運転を任されるベテラン運転士。
※所属部署・本記事記載内容は2023年3月時点のものです
大型自動車免許を活かしてバスの運転士に!
幼い頃から小児ぜん息を患っていたこともあり、丈夫な体づくりの意味もあって高校卒業後は自衛隊に入隊しました。そこで第二種大型自動車免許を取得したのですが、今思えば、これが運転士としての今の自分のルーツですね。観光バスの運転士になったのは、自衛隊員として4年勤務し、とあるバス会社に転職したのがきっかけ。当時(90年代)は、観光バスの運転士はとても人気の職業だったんですよ。好景気時代ということもあり、とにかく毎日が大忙し。今では許されませんが、長時間勤務や1〜2カ月間休みなしは当たり前でしたね(笑)。
そこには6年勤めたのですが、その間に家族を持ったこともあって、収入や将来性を考えて路線バスの運転士に転職。働くなかで観光バスの魅力をあらためて感じるようになり、ちょうど時代変化の影響も重なって、26年前に札幌観光バスに入社しました。
信頼できる会社、信頼できる仲間とお客様にサービスを提供
決まったルート、同じ時刻に運行し、すべてがひとりでの仕事になるのが路線バス。一方で観光バスは、ツアー行程に合わせて道路状況を確認しながら臨機応変に対応しなければいけません。修学旅行や団体旅行、旅行会社によるツアーなど業務内容もバラエティーに富んでいるので、運転士・バスガイド・添乗員とチームで取り組むシーンが多いのも特徴です。
転職当時から「札幌観光バス」は、運転士の数、多くのバスガイドをかかえるなど、道内でも大手のバス会社でした。労働組合もあり、しっかりした会社という印象。ここを紹介してくれた最初に勤務したバス会社の先輩に感謝です。
札幌観光バスでお客様を乗せて25年。無事故の秘訣は過信しないこと
自分は、何事もきっちりしたいタイプ。慎重な性格が運転面にも出ているのかもしれません。札幌観光バス入社から25年間無事故でこれた秘訣は、“自分を格好よく見せようとしないこと”。例えお客様をお待たせすることになっても、運行に際して少しでも気になることがあれば、バスを止めて車両を確認します。ちょっとダサくても、うまくバスを停められなければバックをし直せばいいという考えです。
後輩運転士にもよく聞かせていますが、車道脇に積もった雪山は、「雪=やわらかい」とは限らないということです。雪の中に何か硬いものが隠れているかもしれません。多分大丈夫だろう、という考えを持たずに運転することが大切なんです。
とはいえ25年間、無事故記録を更新し続けているとプレッシャーを感じることもあります。札幌観光バスには長期無事故運転士への表彰制度があるのですが、25年間無事故を達成した2022年に表彰していただきました。賞金がかかっていたからかでしょうか(笑)、 表彰の数カ月前に、事故を起こす悪夢を見てハッと目覚めた日がありました。おかげさまで、何事もなく表彰日を迎えることができました。
むかしも今も、北海道には変わらぬ景色がそこにある
これまで長く運転士として働いてきて、お客様を通して北海道観光の変化を時々感じることがあります。ひと昔前は本州から初めて北海道を訪れるお客様が多く、“憧れの北海道”に感動してくれていました。お客様に喜んでもらえていることを感じ取りやすかったと思います。今は、二度三度と北海道旅行の経験があるお客様も増えてきており、雄大な北海道の景色に感動するというよりは、グルメや遊びなどの体験を楽しんでいるように感じます。
それでも先日お連れした流氷観光は、本当に多くのお客様が喜んでくれました。時代の変化はありますが、自分としては北海道の美しい自然と景色は、今も変わらずそこにあると思っています。定年まであと10年をきりましたが、コロナ明けでこれから北海道にまた多くの旅行者がやってくるでしょうから、こういった景色をたくさん見せられたらなと感じています。
誇りを胸に、バス運転士の認知を高めるのが目標
自分のポリシーは、交通を担うバス会社の社員として、観光バスの運転士として、身だしなみを含めてピシッとした立ち振る舞いでお客様をお迎えすること。バス業界の「運転士」という存在が、空でいえばパイロット、陸は運転士くらいに世の中の人に思ってもらえるように自分なりに仕事と向き合ってきました。
そして今は、うちの後輩や若い社員にこの仕事をもっともっと好きになってもらって、プライドをもって仕事をしてもらうのが目標です。そのために、自分の経験を出来るだけ多く伝えていけたらと考えています。あとは、このまま無事故で定年を迎えられたら最高ですね(笑)。
観光スポットや話題のグルメをはじめ、その地の達人から見聞きした小粋な話まで、とにかく情報量が豊富です。
皆さまのバス旅が楽しくなる&推しバスになってもらえるよう奮闘中!