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非公開: 【札幌発バスツアー】二風谷コタン・ウポポイを巡るセタプクサ号【Fコース】|日帰り|HOKKAIDO LOVE!割
プラン詳細を見るセタプクサ号は、2020年から毎年7月~9月の期間限定で運行している札幌観光バスの周遊バスのひとつ。アイヌ文様をモチーフとした印象的なデザインと鮮やかなカラーリングで、バスファンにも大変人気があります。
本記事では、セタプクサ号誕生の由来や取り組み、ツアーの見所や込められた想いを詳しくご紹介します。
毎年7月~9月に登場する周遊バス「セタプクサ号」は、北海道の先住民族であるアイヌの人々が築いてきた文化への理解と交流を目的に、行政事業の一環として2020年に誕生したバスです。
2020年は、これまでにない大きな規模でアイヌ文化を発信できる施設「ウポポイ(民族共生象徴空間)」が白老町に誕生した年。北海道固有の文化を知るうえで外すことのできない場所として、平取町の「二風谷コタン」がありますが、どちらも北海道の玄関口・新千歳空港からそう遠くない立地であるにも関わらず、一日でどちらも巡ることができるような便利な公共交通手段は存在していませんでした。
このため、「二風谷コタン」がある平取町が、より深くアイヌの文化を知ってもらえる機会作りを目指して札幌観光バスに業務を委託。アイヌ政策推進交付金事業「アイヌ文化拠点交流促進バス運行事業」として「セタプクサ号」が誕生しました。
現在、夏の期間に札幌、新千歳空港、平取町、白老町間を結んで運行を続けています。
平取町(びらとりちょう)は自生する北海道原種スズラン群生が有名で、古くから町民が大切に守ってきた花です。北海道産原種スズラン群生では日本一の規模を誇り、もちろん、「平取町の花」はスズラン。そのスズランから名前をとって「セタプクサ号」と命名しました。
「セタプクサ号」で巡るアイヌ文化を学べる拠点は2か所。ひとつは、胆振エリアの白老町に2020年7月にオープンした「民族共生象徴空間 ウポポイ」。そしてもうひとつは、博物館・チセ(家)群・本物のアイヌ工芸品を購入できる施設などが集積している日高エリアの「二風谷コタン」です。
「セタプクサ号」は、2020年の運行開始以来、これまで毎年、ブルー、レッド、グリーンをベースカラーにバスのラッピングがデザインされ、いずれも工芸家がデザインしたアイヌ文様がボディ全体に描かれています。
デザインを手がけたのは、二風谷在住の伝統工芸作家や若手工芸家。2020年の「セタプクサ号」には貝澤 徹氏と関根真紀氏、2021年は貝澤 守氏と高野啓子氏、2022年は原田祥吾氏と尾崎友香氏が担当しています。
誕生年 | 車体カラー | デザイン |
2020年 | ブルー | 貝澤 徹 氏、関根真紀 氏 |
2021年 | レッド | 貝澤 守 氏、高野啓子 氏 |
2022年 | グリーン | 原田祥吾 氏、尾崎友香 氏 |
アイヌ文様には基本パターンがあり、そのモチーフごとに意味が込められています。そして各モチーフの組み合わせと背景の色で、それぞれのセタプクサ号にも意味が込められています。
文様 | アイヌ語 | 意味合い |
棘がある形 | アイウㇱノカ | タラの木、ハナマシ、魔よけ、呪術性 |
目の形 | シㇰノカ | 星に見えるため、やさしく見守る |
蕾の形 | アパポエプイノカ | - |
渦巻き形 | モレウノカ | パワー |
ウロコの形 | ラㇺラㇺノカ | - |
これらの基本モチーフを組み合わせて連続させ、さらに色彩などが加わり美しい模様になります。アイヌ文様の基本のパターンの意味がわかると、セタプクサ号のラッピングデザインをさらに深く鑑賞できます。
【豆知識】
北海道で唯一「伝統工芸品」に認定されている二風谷の工芸品
「セタプクサ号」のラッピングデザインを担当したのは、平取町二風谷在住の伝統工芸家ですが、北海道のなかでもより貴重な伝統工芸ともいえるのが二風谷の伝統工芸です。
現在、日本の「伝統工芸品」とは、経済産業省が全国の伝統工芸品のなかから指定された要件を満たしたもののみを指定しており、その伝統工芸品は、北海道では「二風谷イタ」(木彫)と「二風谷アットゥシ」(織物)のふたつだけ。北海道では、ほかにはない伝統工芸品の作家がデザインを手がけているのが「セタプクサ号」です。そういう意味でも、セタプクサ号はとても貴重な周遊バスともいえます。
これまでデザインされたセタプクサ号のラッピングは、ブルー、レッド、グリーン。
最初にデザインされたブルーのセタプクサ号から、アイヌ文様のデザインを描くに当たり、アイヌの伝統的な「男の手仕事」「女の手仕事」を表すため、車体の右と左にふたりの工芸家のデザインを採用しています。
2020年、初めての試みだったブルーのセタプクサ号は、貝澤 徹氏と関根真紀氏が試行錯誤を重ねたのちにデザインが完成。アイヌ文様の「モレウ」を取り入れ、川の中の自然現象、渦巻きをモチーフにしています。デザインのなかには、作者を示すマークも。
【豆知識】
「男の手仕事」と「女の手仕事」
セタプクサ号のラッピングデザインは、よく見ると車体の右と左が異なっています。これは、アイヌ伝統文化、「男の手仕事」と「女の手仕事」を表したもの。
伝統文化のなかで、「男の手仕事」は木彫り、「女の手仕事」は織物などで、「伝統工芸品」として指定されている「二風谷イタ」と「二風谷アットゥシ」は、その手仕事です。それぞれにアイヌ文様を施し、基本のモチーフが表す文様の意味、神や自然への祈りを込めて、そのデザインを巧みに工芸品に取り入れています。
また、レッド(朱け色)ベースのセタプクサ号は「アペフチカムイ(火の神)」の炎をイメージ。バスの左側を貝澤 守氏、右側を高野啓子氏が担当しコラボレーションしています。
一番新しいセタプクサ号のグリーンは、原田祥吾氏と尾崎友香氏による「森との共生」がテーマ。アイヌの人々が大切にしてきた価値観から生まれ、グリーンをベースカラーにしています。
これまでも国内の観光地として人気を博してきた北海道ですが、2020年7月に「ウポポイ(民族共生象徴空間)」がオープン。
ウポポイのオープンにより、博物館の展示やさまざまな体験プログラム、また、敷地内の飲食店で提供されるアイヌ伝統料理などから、アイヌ民族の歴史や文化を多角的に学ぶことができるようになりました。
特に敷地内の「国立アイヌ民族博物館」は、アイヌ民族を主題にした日本で初めての国立博物館として、多くの人が訪れています。これにより、単に観光地としてだけではなく、より深く北海道について知るきっかけになっている施設がウポポイです。
ウポポイと同じく、セタプクサ号でも訪れる平取町二風谷コタンは、アイヌ文化の関連施設が集まったエリアです。訪れるとすぐにいくつもの「チセ」(家)が目に入ります。それぞれのチセは復元されたものですが、中では工芸作家が木彫りや織物をおこなっているところを間近に見ることができます。
「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」では、重要有形民俗文化財にもなっているアイヌ生活用具が展示され、かつて造られた二風谷イタや二風谷アットゥシなども見ることができます。
また、「平取町アイヌ工芸伝承館ウレㇱパ」では、工芸家の創作活動の様子を見たり、体験プログラムに参加できたりします。
札幌観光バスが「セタプクサ号」でおこなっているツアーは、「セタプクサ号で行く二風谷コタン、ウポポイを巡る旅」。7月から9月までの期間限定ツアーで、期間中の土曜・日曜・祝日に運行(8月の3週間は月曜以外の毎日運行)しています。
※上記は2022年度の実績
札幌駅を出発し、新千歳空港を経由、「二風谷コタン」(平取町)と「ウポポイ」(白老町)を中心に巡りますが、添乗員の資格があるバスガイドがツアーに同行し、移動中のバスで各地の見どころ、歴史、ローカル情報などを随時案内しています。
広大な北海道には、各地にアイヌコタンがあり、地域によってそれぞれの文化があり、どのアイヌ文化も同じではありません。その点において、「セタプクサ号」での周遊ツアーは、2カ所のアイヌ文化拠点を一度に巡り、ふたつのコタンを見て、よりアイヌ文化への理解を深められる要素が多いかもしれません。
時刻 | 行程 |
9:00 | 札幌駅北口 出発 |
10:20 | 新千歳空港 出発 |
11:30 | びらとり温泉ゆから ※希望者のみ |
12:30 | 二風谷コタン |
15:10 | ウポポイ(民族共生象徴空間) |
17:40 | 新千歳空港 到着 |
18:40 | 札幌駅北口 |
また、セタプクサ号乗車中に上映するDVDには、車体のデザインをした工芸家の方々が登場しますが、二風谷コタンの散策中、タイミングが合えば、工芸家の方々に直接に会えるチャンスがある点も楽しみのひとつです。
※バス運賃に昼食とウポポイの入場券が付いた1日周遊ツアーは、税込み6,200円(2022年度実績)
アイヌ文化を学べる2スポットを巡るセタプクサ号周遊ツアーは、乗車するバスにもアイヌ文様が描かれ、乗車することころから、アイヌ文化をより身近に感じられ、バスに乗れば、そのラッピングデザインの由来も、一緒に乗車する担当のバスガイドから聞くチャンスもあることでしょう。
ウポポイと二風谷コタン、どちらも巡り尽くしたバスガイドのトリビア的な説明も、アイヌ文化をより深く身近に感じられる大きなサポートになってくれるはずです。
2023年のセタプクサ号による周遊ツアーは、7月1日から運行予定。昨年同様に夏休み期間は、月曜日を除いて連日運行するので、気になった方はツアー一覧から詳細をチェックしてみてください♪
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