観光バスドライバーの仕事内容や特徴は? 運転士になるために知っておきたい6つのこと
日常生活で何気なく接することが多いバスドライバー。自宅近くから乗り込む路線バスでバスドライバーに接する人も多いでしょう。
子どもの頃、バスドライバーにあこがれていた経験を持つ人もいるかもしれません。
今回は、バスの運転士、なかでも観光バスドライバーに職業として就くために知っておきたいことをまとめてみました。
本記事は観光バスの運転士を目指す方に向けて、一般的に必要とされる事例をまとめたものです。
仕事内容や条件は、各社によって異なります。
そもそも「バスドライバー」には、どのような種類がある?
大きなバスを運転する職業、バスドライバー。ひと言でバスドライバーといっても、実は4つの種類に分類されます。
- 路線バス
- 高速バス
- 送迎バス
- 観光バス
路線バスの運転士
ひとつは「路線バス」。多くの人にとって、最も身近な存在のバスドライバーといえる路線バスの運転士は、地域に密着し通勤通学や日常生活に関わる移動手段としてなど、地域のライフラインを支える役割を果たすともいえる職業です。
高速バスの運転士
第二には「高速バス」のドライバー。都市間を結ぶ長距離路線の運転は、体力も必要ですが、さまざまな市町村を巡ることができる点が特徴です。また、高速バスでは、路線バスと比べると比較的新しい車種のバスを導入するケースも多く、特に車両そのものが好きな人にとっては、より魅力的なドライバー職かもしれません。
送迎バスの運転士
一方、「送迎バス」は、ほかのバスが不特定多数のお客様を乗せて目的地へ運ぶことに対し、場合によっては一定期間、同じお客様を乗せて運ぶこともあり、そういう意味ではお客様とのコミュニケーションがより多く発生するドライバー職ともいえます。
観光バスの運転士
そして「観光バス」。旅をするお客様とともに、都市間はもちろん、観光地を多く巡るため、ほかのバスドライバー職以上に変化に富んだ毎日を送ることができる職種です。
さっかんには25年間無事故のレジェンドがいる! → こちら
多くの人の旅を演出する「観光バスの運転士」ってどんな仕事?
ずばり、観光バスドライバーは、観光旅行、一般の方の快適で楽しいバスツアーをサポートする“観光”に密接にかかわる仕事です。
例えば、バス会社が企画・販売し観光スポットを巡る「定期観光バス」、旅行会社が企画・販売する「観光バスツアー」や修学旅行など団体旅行での「貸切り観光バス」が活躍の場。このため、その日のツアーによって行き先やスケジュールが日々、異なります。
観光バスドライバーは運転技術+コミュニケーションが大切
仕事の内容は、スケジュールに合わせて安全にバスを運転することはもちろんですが、道路状況、渋滞状況に合わせた臨機応変な対応を求められたりするほか、ときにはお客様の乗り降りをサポートしたり、荷物の積み下ろしをサポートしたりと、お客様とのコミュニケーションも必要です。
また、バスガイドが車中でガイドをしながら移動している場合には、名所を通り過ぎる際に速度を落として走るなど、バスガイドとの連携、コミュニケーションを発揮する場面もあります。
そして、バス車両の故障が生じた場合には、簡単な故障であれば、自ら修理を試みることも。大きな車体のバスを運転しながらも、さまざまなことに目配り、気配りをしているのが観光バスドライバーの仕事です。
バスの運転士になるために必要な資格とは?
観光バスを運転するにあたっては、大型バスでは全長が9.0m以上、長いものでは全長12mにもなり、車体幅は2.3mを超えます。このような大きな車体を運転するためには、どのような資格が必要なのでしょう。
バスの運転には「大型第二種自動車運転免許」が必要
大型バスの運転には、「大型第二種自動車運転免許」が必要です。「大型第二種自動車運転免許」を取得すると、総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の大型バスで乗客は30人以上を乗せて運転することができます。
大型第二種自動車運転免許の取得には、まず「普通運転免許」と運転経験が必要
この「大型第二種自動車運転免許」、取得する前には、まず普通自動車免許を取得し、それから通算で普通自動車の運転(もしくは第一種大型・中型・大型特殊免許での運転)を3年以上経験していることが必要です。
また、大型自動車免許の教習は21歳以上の人のみ受けることができるという決まりもあります。
観光バスドライバーの1日と仕事内容
観光バスドライバーは、その日のツアーコースやスケジュールによっては、毎日異なる時間帯で仕事をすることになります。そんな観光バスドライバーの1日の仕事流れをおおまかにご紹介します。
出勤 | 担当ツアーによって出勤時間は変動 |
日常点検 | 整備士任せではなく、自身の目でも車両に異常がないか確認 |
アルコール検査 | どのバス会社でも必ず検査を行います |
乗務前点呼 | 運転するバス・ルートに間違いがないか確認、車両の状態、酒気帯びの有無、健康状態を報告 |
お客様の集合場所へ出発 | ツアーによって出発地が異なります |
お客様を乗せる | 笑顔でお出迎え |
目的地へ出発 | 参加者が全員乗車したことを確認して出発 |
目的地に到着、お客様を降ろす | 目的地の到着まで一時も気が抜けません |
お客様の降車場所に到着 | お客様をお見送り |
営業所へ戻る | ツアー終了後は営業所に直行 |
洗車・給油 | 到着報告をして、給油をして車庫に戻ります |
乗務後点呼 | 日報の作成などの事務作業、車両の状態、酒気帯びの有無、健康状態を報告 |
1日の業務終了(退勤) | 翌日の運行を確認して退勤します |
観光バスドライバーが出勤してから出発まで
営業所に出勤すると、日常点検を自ら行い、その後運行管理を担当するスタッフ、その日のツアーに同行するバスガイドと一緒にスケジュールの確認をおこなうことはもちろん、その日のルートに合わせた道路状況、渋滞情報などの情報収集をおこないます。
不測の事態を防ぐため、またはその事態に対応するため、アルコール検査や車両の点検、その日のルートやスケジュールに沿って、渋滞状況などの情報収集もおこないます。
貸切バスのすべてを管理・調整する運行管理者って知ってる? → こちら
お客様を乗せて出発! ツアー行程に合わせてバスを幾度も移動
そしてお客様を乗せて目的地へ出発すると、ルートやスケジュールによって、お客様がトイレ休憩などをとれるよう、途中で休憩を入れながら安全運転を心がけます。目的地(見学地)では、お客様をお見送りしたあと、見学時間や駐車場のスペースに合わせて、バスを移動させて待機したり、お客様が乗り込む時刻までに集合場所で待機しお客様をお迎えします。
お客様を最終目的地へお連れしお見送りをしたあとは、再び営業所へ戻り、洗車や給油、運転日報の記入などをおこない、バスガイドと一緒に乗務後点呼を受けます。
観光バスには宿泊ツアーもある
宿泊を伴うバスツアーを担当する場合もあるので、その場合は、お客様を宿泊施設へお連れしたのち、給油をおこない、バスドライバーとバスガイドの宿泊施設までバスを移動させ、点検をおこなってから営業所へ必要な報告をおこない、1日が終了します。
観光バスドライバーのメリットとやりがいとは?
大きなバスを自ら培った技術で運転し、ときには市町村から市町村へお客様をお連れする。
大型車両の運転が好きだったり、さまざま土地を隈なく訪れながら仕事をしたりする醍醐味は、相棒ともいえる大型バスとともに多くの人の安全を預かり、責任をもってひとつのプロジェクト(バスツアー)を安全に完結させることです。
一つひとつの小さな課題は日常的に生まれることもありますが、1日1日、お客様と同乗する同僚の命を預かりながらも無事故無違反で完結させ、その積み重ねは、個々の観光バスドライバーの実績と自信となっていきます。
お客様に楽しんでもらうのも大事な仕事
また、毎日、安全にプロジェクトを完結させるなかには、お客様が楽しむ雰囲気や、ときには感謝の言葉を受け、お客様が楽しんでいる時間を縁の下の力持ちとして支えることで、多くの方の人生にほんの少し色を添えるお手伝いができることかもしれません。
異業種からの挑戦!さっかん運転士紹介 → こちら
仲間と同じ目的に向かって頑張れる
そして、バスガイドやときには添乗員さんとの連係プレーで、お客様の楽しいひとときを陰ながら演出できたときの達成感もまた、観光バスドライバーのやりがいです。
バスガイドの対応力が試される瞬間とは? → こちら
技術だけでなく、心も大切。観光バスドライバーに必要なこととは?
大型バスの運転トレーニングは、最初は広い場所で、そして慣れてくると、次第に走行距離を延ばしたり、狭い道や蛇行する道を走行したりと、少しずつ難易度を上げ、例えば狭い駐車場などでもスムーズにお客様に乗降していただけるような高度なスキルを身に着けていくことはとても重要なことです。
とはいえ、よりお客様と過ごす時間が長く、接点も多い観光バスドライバーは、やはりお客様が気持ちよく、そして楽しく旅を終えられるように心がける気持ちはとても重要です。
お客様にとって、美しい観光地や珍しい名所を訪れることはもちろん貴重な経験になり得ますが、ともすると、旅の一番の思い出は、その土地で出会った人との交流になることが少なくありません。そのような中、旅をともにしているといっても過言ではない観光バスドライバーが、お客様にかける「おつかれさまでした」というひと言や、乗降の際の何気ないお手伝いは、大きなサプライズではありませんが、少なからず、心にじんわりと染み入るやさしい思い出になっているに違いありません。
お客様に素敵な旅をしていただきたいと思う気持ちは、そのツアーの楽しい雰囲気を支え、ひいてはより安全な運転にもつながっていきます。つまり観光バスドライバーは、お客様と楽しい気持ちを共有することが、安全な運転を含めた仕事の質の向上につながる職業といえるかもしれません。
まとめ
観光バスドライバーは、大型第二種自動車運転免許を習得した人だけが就くことができる仕事ですが、そこからさらなるスキルアップが必要です。とはいえ、広い意味では、大型車両が好きだったり、旅が好きだったり、人を喜ばせることが好きだったり、同乗スタッフとのチームワークを楽しめたり、そして体力に自信がある人にも向いている職業といえます。
そして、たくさんの人が旅行を楽しむ時間を再び持ち始めた今、国内はもとより海外からのお客様が熱い視線を向けている日本とその観光地では、観光バスドライバーは強く求められる職業として、また、多くの人を楽しませるサポートをする職業として、魅力ある仕事といえるでしょう。
観光スポットや話題のグルメをはじめ、その地の達人から見聞きした小粋な話まで、とにかく情報量が豊富です。
皆さまのバス旅が楽しくなる&推しバスになってもらえるよう奮闘中!